夜の静けさをやぶるように、「くしゅん」と響く小さな音。
最初はホコリでも吸い込んだのかと思ったのに、気づけば毎日のように続く——。
猫のくしゃみって、見ているだけならかわいいけれど、続くと胸の奥がざわつきますよね。
長年、数匹の猫と暮らしてきた中で感じるのは、“猫のくしゃみは、体が発する小さなサイン”だということ。
愛猫飼育スペシャリスト講座で学んだ飼育管理の知識でも、くしゃみはむやみに放置しないほうがよいサインとされています。
空気のちょっとした刺激、季節の変わり目、ストレスや体調の揺らぎ——。
そのどれもが、猫の「くしゅん」に関係していることがあります。
この記事では、猫がくしゃみを多くする・毎日続く・止まらないときに考えられる要因と、暮らしの中で意識できるケアを、経験と一般的な解説情報の両面からお伝えします。
この記事を読むとわかること
- 猫がくしゃみを多くする・止まらないときの主な要因と見分け方
- 家庭で意識したい空気・香り・環境の整え方のコツ
- 動物病院を受診するか判断するための目安
愛猫が突然家から飛び出してしまった。急いで探したけど見つからない。
そんな時にも慌てなくて済むんです。
猫がくしゃみをする理由とは?
猫のくしゃみって、最初は本当にかわいいんですよね。小さな顔をくしゃっとさせて、「くしゅん!」って。
でも、それが毎日、しかも何度も続くようになると——胸の奥がスッと冷たくなるような心配が湧いてきます。
この「くしゃみ」は、空気中のホコリや香り、気温差、あるいは鼻・喉の粘膜の状態などに反応して起こる自然な防御行動のひとつと考えられています。
いわば「鼻の中のセンサー」が過敏になっている場面がある、というイメージです。
猫の“くしゃみスイッチ”が入る瞬間
たとえば季節の変わり目。急に冷え込んだ夜や、暖房をつけた直後などに「くしゅん!」と出ることがあります。
乾燥や温度差が刺激になっているケースです。
また、部屋の掃除をしたあと・猫砂を替えたあとなど、空気中に舞った粉やにおい成分も刺激になりえます。
「猫砂を新しい銘柄に変えたらくしゃみが増えた」という声は珍しくありません。
香りが良い=猫に優しいとは限らないのが、猫暮らしのむずかしさでもあります。
「多いだけ」なら安心?と思ってしまう落とし穴
くしゃみが「毎日」「止まらない」「連続して出る」ときは、何らかの刺激が続いているサインのことがあります。
なかには上気道のトラブルや歯の根の炎症、鼻の奥のポリープが関与するケースも指摘されています。
特に「鼻水が片側だけ」「くしゃみのあとに顔をこすりたがる」などは、体の中の一部位に問題がある可能性も。
気になる場合は早めの受診を検討してください。
くしゃみは“鼻だけの問題”ではない
猫のくしゃみは、体全体のコンディションを映す鏡のように見えることがあります。
体調の乱れや環境の変化などをきっかけに症状がぶり返すこともあります。
空気、音、温度、におい。どれもが、猫にとっては“世界の質”。
だからこそ、くしゃみが続くときは「猫の世界に今、何が起きているのか」を考えてあげたいんです。
猫のくしゃみが多い・毎日続くときに考えられる主な要因
「毎日くしゃみしてるけど、元気そうだし大丈夫かな?」——そう思っていたのに、気づけば“くしゅん”が日課に。ここでは、暮らしの実感と公開情報の整理から、よく話題になる要因をまとめます。
ホコリや香りなどの刺激
猫の鼻はとても繊細。掃除や布団の手入れで舞うホコリ、猫砂の粉、柔軟剤や芳香剤の香りなどで、くしゃみが増えることがあります。
香りつきの猫砂は心地よく感じても、猫には強い刺激になる場合があります。
空気の入れ替えや、低粉じんタイプの砂に替えるなど、環境面の見直しで落ち着くケースもあります。
いわゆる「猫風邪」と呼ばれる上気道のトラブル
くしゃみに加えて鼻水・目やに・涙が出ているなら、上気道のトラブルが疑われることがあります。
完全室内飼いでも、体調や環境の変化をきっかけに症状が再燃することがあります。
最終判断は獣医師の診察で行われます。
歯や鼻の奥のトラブル
猫の上あごの奥歯の根は鼻腔に近く、根の炎症が鼻に影響することがあります。
片側だけのくしゃみや血混じりの鼻水、「食事中に顔を傾ける」「食後にくしゃみ」などが見られるときは、口腔・鼻腔のチェックが参考になります。
アレルギー・慢性鼻炎・ストレス
花粉やカビ、ハウスダストなどへの反応や、慢性的な鼻の炎症が関与する場合もあります。
また、模様替え・来客・多頭環境などの変化が続くと、猫の負担となり症状が目立つことがあります。
猫のくしゃみが止まらないときのチェックポイント
くしゃみが続くときほど、“気づく力”が味方になります。以下は受診の前に見ておきたいポイント。
- 頻度の変化:回数が増えていないか、連続していないかをメモ
- 鼻水・涙・目やに:透明→色つき、片側のみ、粘度の変化など
- しぐさ・音:顔をこする、片側だけ詰まる、呼吸音が変わる
- 食欲・元気:食べる量の低下、体重の変化、動きの鈍さ
以下は受診の目安:くしゃみが数日以上続く/鼻水や涙が増える/血が混じる/息が荒い——いずれかに当てはまる場合は早めに相談を。
暮らしの中で意識できる対処法
猫のくしゃみは、日々の「空気」「香り」「過ごし方」への配慮で落ち着くことがあります。
特別なことよりも、まずは生活導線の見直しから。
空気を清潔に保つ
こまめな換気、フィルター類の手入れ、粉じんが舞いやすい作業は猫がいない場所で行うなど。
香りの強いスプレーやアロマは距離を置くと良い場合があります。
猫砂や洗剤を見直す
低粉じん・無香タイプを試す、柔軟剤を控えめにする・無香料に切り替えるなど。
少量パックで猫の反応を見ながら調整を。
ストレスを減らす
お気に入りの寝場所を動かさない、声かけは落ち着いたトーンで、夜は静かに過ごす——といった「変わらない安心」を意識。私の環境でも、保護した子の生活動線を整え、外が見える居場所を確保することで落ち着きが出た経験があります。
水分と湿度
飲水場所を複数・静かな場所に置く、ウェットフードやスープを取り入れるなどで自然な水分補給を。
室内湿度はおおむね40〜60%を目安に。
動物病院を受診したほうがいいサイン
- 鼻水の色・粘度の変化、血が混じる
- 呼吸音の変化(ゼーゼー、ヒューヒュー、口呼吸)
- 食欲・元気・毛づやの低下、体重減少
- 「いつもと違う」直感が続く
迷ったら期間と回数で判断を。数日以上続く、または一日に何度も連続するなら受診を検討してください。
診察では鼻腔・口腔の確認や必要に応じた検査で状況を把握できます。
まとめ
猫のくしゃみは、ただの「くしゅん」ではなく、暮らしと体調の小さなサイン。
毎日続く、回数が増える、音や表情が違う——こうしたズレが手がかりになります。
まずは“鼻目線”で環境を点検。
部屋の空気、香り、猫砂の粉っぽさ、乾燥や温度差、最近の変化(模様替え・来客・生活リズム)。
加えて、くしゃみの頻度、鼻水や涙の状態、呼吸、食べる量、体重などを短期メモに。
気になる変化が続く・色つきの鼻水や血が混じる・息づかいが荒い——このラインを越えたら、迷いは横に置いて獣医師へ。
選ぶって、悩むことじゃありません。
「猫の暮らしに役立つか」を軸に、できる一歩を静かに積み上げるだけ。
今日気づいた小さな違和感は、猫からの合図。気づけた自分をちょっと誇りに思って、次の一手へ。
私も同じ目線で、“違いの輪郭”をいっしょに描いていきます。
参考(国内の一般向け解説)
- 猫のくしゃみが止まらない?連続するくしゃみの見方と相談の目安(一般向け院内コラム等)
- 猫のくしゃみの主な原因と気をつけたい症状(小動物病院の公開解説)
- 元気に見えてもくしゃみが多いときの環境見直しポイント(一般向けマガジン)
本記事は一般的な飼育情報の提供を目的としており、特定の症状に対する診断・治療・予防を目的とするものではありません。体調に不安がある場合や症状が続く場合は、獣医師にご相談ください。
参考URL(国内・獣医師監修中心)
- 猫のくしゃみが止まらない!連続するくしゃみの原因と対処法を解説(さくらしらい動物病院)
くしゃみの頻度別の見立て、受診の目安、家庭で意識したいポイントが整理されています。 - 猫のくしゃみの原因は?病気のサインと気を付けた方がよい症状(みらい小動物病院コラム)
ウイルス・細菌・環境刺激・歯や鼻のトラブルなど、原因と対応が体系的に解説されています。 - 元気そうな猫がくしゃみをするのは病気?獣医師が原因と対策を解説(CAINZ Pet Magazine)
「元気だけどくしゃみが多い」ケースの見極め方と、暮らしの中でできるケアの具体例がまとまっています。

